不定愁訴は首こりが原因?!
首こりが自律神経の不調を引き起こす
頭痛、めまい、倦怠感、ドライアイ、不眠、便秘、うつなど、不定愁訴、原因は「首こり病」かもしれません。
私がこれまでに心療内科で数多くの不定愁訴(頭痛、めまい、倦怠感、ドライアイ、不眠、便秘、うつなど)に悩む患者さんの施術をしてきた経験から、自律神経の不調をもたらす首こり病と、その治療と予防についてお話していきます。
首こり病は首の後ろの筋肉がこって、
いろいろな不調が現れてくる症候群
首こり病は同じ姿勢を続けて首の筋肉を使いすぎることによって起ります。
特にデスクワークなどでの首の姿勢が問題で、長時間うつむいた姿勢で重い頭を支え続けたことによって、首の筋肉が過度に緊張し、こり固まってしまうことで発生します。
首の筋肉がこるといろいろな症状が出てきます。
代表的な症状は首の痛み(頚部痛)や頭痛ですが、症状はそれだけにとどまりません。
いつも頚が痛い、体がだるい、疲れがとれないなど、病院でいろいろな検査を行っても原因となる病気が特定されない、いわゆる不定愁訴と呼ばれる症状も実は首こりから発症しています。
首こり病の症状
首こり病の症状をみていきましょう。
こり・痛み(緊張性頭痛)
首こりでもっともよくみられるのは頚部痛と頭痛です。
首の筋膜肉を酷使すると頚部痛から、ぎっくり腰の首版のような、突然の「ぎっくり首」(急性頚椎痛)が起こることがあります。
また、頭痛には片頭痛などがありますが、首のこりから発生する頭痛は「緊張性頭痛」です。
後頭部から頭全体にかけて、頭が締めつけられるような痛みや圧迫感をともなうタイプの頭痛です。
仕事や試験勉強などをして夕方になってくると痛みが現れるタイプの頭痛です。
ふらつき・めまい
首の筋肉は目と連動して姿勢のバランスを保つために大事な働きをします。
首の筋肉が過剰に緊張すると目との連動が崩れて平衡障害が起こり、バランスをうまく保てなくなります。
ぐらぐらしたりフワフワしたりと、立っているところが安定しない、まっすぐに歩けない、首を動かすとふらつくなど、めまいのような症状が首こりによって現れます。
自律神経症状(失調症)
首こり病で特徴的なのは自律神経症状(自律神経の失調症状)です。
人間の体には、脳と脊髄にある中枢神経と全身にある末梢神経があります。
末梢神経には体性神経と自律神経があり、自律神経は、感覚と運動をコントロールする体性神経とは異なり、生命維持に必要な機能をコントロールしています。
大脳で首のこりや頚部痛を知覚すると大脳辺縁系・視床下部に伝わります。
視床下部は自律機能の調節を行う総合中枢であり、首こりや頚部痛の影響が自律神経に及ぶという仕組みです。
たとえば、
自律神経は血流をコントロールしていますが、手足の冷えは血流、つまり自律神経が関係しています。
心臓や胃腸・食道などの内臓の働きも自律神経が担っており、動悸や胃もたれ、便秘などの症状も、息苦しさや過呼吸が起こるのも自律神経の問題です。
手のひらや体幹に汗をかいたり、瞳孔の調節が低下してまぶしさを感じたりすることも、自律神経の不調が引き起こしている症状です。
気分の問題(気分障害)
首こりは気分の問題(気分障害)も引き起こします。
大脳で首のこりを知覚すると、大脳辺縁系・視床下部に伝わるとさきほど紹介しました。
大脳辺縁系は系統発生的に古い脳であり、情動という好き嫌いや、やる気などの感情の表出に関与しています。
首がこってきて頭が重いなどの嫌な思いがあると、倦怠感から始まって、気分が滅入るうつ症状が現れたり、夜眠れないといった睡眠障害や、不安障害やパニック症候群を起こしたりすることもあります。
しびれ(末梢神経障害)
首がこると末梢神経が首の筋肉によって圧迫され、腕や肩、肩甲骨周辺にしびれ(末梢神経障害)が出ることがあります。
病名でいうと、胸郭出口症候群、前斜角筋症候群などが首こりに関係しています。
他にも、自律神経に関係する症状はこんなにもあります。
循環器の症状:
動悸、頻脈、不整脈、血圧上昇(不安定)、手足の冷え、のぼせる、微熱
消化器の症状:
口の渇き、のどに詰まる(嚥下反射、食道のぜん動)、胃もたれ・胃下垂(胃のぜん動)、胃が痛い、逆流性食道炎、おなかが張る、便秘、下痢、便秘と下痢が交代でくる、嘔気・嘔吐、食欲不振
呼吸器の症状:
息苦しい、過呼吸症候群
目の症状:
まぶしい、ぼやける、疲れる(瞳孔の拡大、対光反射減弱)、目が渇く(涙腺)
その他の症状:
汗をかく(てのひら、体幹)、うつ、慢性疲労
これらの『いわゆる不定愁訴』で病院でいろいろな検査を行っても原因となる病気が特定されないとお悩みの方は首こり病を疑ってみてはいかがでしょうか?
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